ボール置き埸

読書メモと勉強したことのまとめ。

功利主義(1/2)

0 はじめに

 本記事は、規範倫理学の一つの立場である功利主義について入門的なこと、また少し発展的なことを述べる記事である。入門的な内容ならWikipedia他多数の参考になるサイトがある。児玉先生の解説も参考になるだろう。ある程度功利主義を知っている人ならば『道徳的動物日記』のいくつかの記事がとても参考になる。

 功利主義はとても魅力的な倫理理論だと私は思う。しかし批判や誤解がとても多く、あまり支持されていない。この記事を読み終わったとき、皆さんに功利主義が好きになってもらえるよう、せめていくつかの誤解がなくなるよう願っている。

全体の構成について。

 「1 功利主義とは何か」では、功利主義の基礎的なことについて述べ、いくつかの代表的な批判を取り上げる。

 「2 功利主義の分類」では、1で述べたことを軸にいくつかの功利主義の形態を紹介する。多くのサイトでは「行為功利主義」と「規則功利主義」、「快楽功利主義」と「選好充足功利主義」の2つで分けられることが多いが、実は他にも分類法があり、多種多様の功利主義が存在する。

 「3 功利主義の適用」では、いくつかの具体例に関して、功利主義的に考えるとどのようにすべきかを述べる。功利主義は様々なことに関して具体的に述べることができる。しかも、一貫性を保ち、矛盾なくそれができる。これが何よりの魅力であると私は思う。

 「4 功利主義者になる」では、功利主義に対してよくある批判を取り上げる。それら批判に対してどのように答えるかを検討することで、功利主義的な考え方をより深くみる。

 「5 まとめ」では、功利主義についての個人的な見解を含めて、全体のまとめを行う。 

1と2を前半で、残りを後半の記事で取り扱う。

ここで、本記事および後半の記事でよく出てくる「直観」という語について説明する。ここでいう「直観」とは私達が普段持っているような常識的な信念(思っていること)のことである。

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