ボール置き埸

読書メモと勉強したことのまとめ。

外部ツール使いまくりの研究方法(論文を探す、読む、書く)

 

研究のやり方がほぼ定着して、今のところうまく機能しているので、改善方法の探索も兼ねて言語化しておく。

なお、私は人文系(特に哲学)と情報科学系(特にNLP)の両方で研究しており、それらを統一的な方法でやりたいと考えている。よって、以下に書く方法が一般化可能だとはあまり思ってない。

 

論文を探す

論文の探し方は、自発的に探す方法と、自動推薦・通知ツールを使う方法と2種類ある。

自発的に探す

人文系・情報系双方で主に用いている検索ツールは以下の通り

情報系の場合はさらにarXiv、人文系(特に哲学系)の場合はPhilpapersも時々用いている。

私は主にGoogle Scholarをメインに用いており、2つの方法がある。

  1. 自分が調べたいキーワードで検索する。大抵は候補が多すぎるので、キーワードを増やしたり、ダブルクオーテーションで検索ワードをかこって完全一致検索をかけることで、候補を減らしている。
  2. 自分が重要だと思う論文の引用文献を、検索ワードと共に探す。

自分がある程度知ってる分野なら2がうまくいく。1は、まだ分野に明るくなく、ざっくり検索したいときに使っている。

Elicit自然言語で検索することができ、かつ候補論文の要旨を要約して表示してくれる。Google Scholarなどでは見つけられなかった論文を提示してくれることがあるのと、自然言語で検索できる(かつ改良された検索フレーズを提示してくれる)ので、時々用いている。これは全く知らない分野の論文を探す時に便利。使用方法については以下のサイトが参考になる。

www.syero-chem.com

 

Incitefulは論文ネットワークを可視化するツールである。複数の論文(5本以上が推奨)を選択すると、それと参照関係にある論文を可視化し、提示してくれる。似たようなサービスにConnected Papersがあるが、Incitefulは無料で使えて、複数の論文からネットワークを可視化することが容易なので、こちらの方が使いやすい。

 

自動推薦・通知ツール

ここでも同じくGoogle Scholarが便利。主に使ってる機能は2つある。

  1. 特定の論文が引用された時に、その引用した論文を通知させる
  2. マイ・ライブラリに登録した論文をもとに、自動で論文を推薦・通知させる

特に1は重要で、私が必須級の論文だと考えてるもの、かつ分野横断的には引用されないような論文を通知設定している。分野横断的に引用されるような論文だと通知が多くなり、また自分に無関係な論文が通知されてしまうため。

2の機能は補助的に用いている。たぶんラベルを駆使すれば推薦精度も上がるのだろうが、そこまでのコストを掛ける気になれないのでラベルは使用していない。

 

論文を読む

読む時に使用しているツールは以下の通り。

Zoteroは概ね無料で使える文献管理ツールで、ブラウザの拡張機能等を通じていろいろできる。Zotero自体のストレージが小さいので(有料で拡張可能)、Google Driveと連携させている。Zoteroの使い方は検索すればいろいろ出てくるので、調べてみると良いと思う。

Zoteroでは、論文をフォルダ分けすることができ、またメモを作れる。私はフォルダを「未読」「読書中」「既読」の三つにしている。論文を分野・トピックごとにフォルダ分けするのは私には全く合わなかったので、MECEな分類になるようにしている。メモ機能は優れてないので、代わりにScrapboxを用いている。そして論文の分野・カテゴリ分けはScrapboxにまかせている。

Scrapboxは少し特殊な構造をしてるノートツールである。完全クラウドかつ無料で用いることができる。Scrapboxの特殊さは以下のような感じだと思う。

  • メモ間の階層構造はなく、メモのカテゴリはすべてタグで管理する
  • 完全クラウドかつ個人利用では無料(この点が似たようなサービスのObsidianと違うところ)
  • 他のメモが2-hopリンクで表示される(そのメモ参照するリンクと、そのメモ参照するリンクの両方を表示する)
  • Scrapbox特有の記法が存在(Obsidianはmarkdown

私がScrapboxを利用してる主な理由は上2つで、似たようなサービスであるObsidianを使ってない理由でもある。また論文を分野・トピックごとにMECEに分類するのは私には不可能だったので、複数のタグで、かつネットワーク的に管理できるのがいい。また完全クラウドで、URLでメモを参照できるため、上記で紹介したZoteroのメモ欄にScrapboxのリンクを貼り付けている(以下の画像はZotero上の画面)。

Zotero上の画面、Scrapboxのリンクがメモ欄に表示されている

代替ツールとしてNotionもいいかもしれないが、Scrapbox+Zoteroがシンプルに使えて、こちらの方が私には適合していた。

 

DeepLは性能のいい機械翻訳ツールである。私はPro版に登録して使っている。専門用語に弱いと言われてるが、Pro版の辞書機能を用いることである程度は解決できる。また私はDeepLを登場初期から用いているため、翻訳のクセがなんとなくわかり、誤訳・抜け訳等がある程度はすぐわかるようになった。DeepLを用いる場合は誤訳等を見つけるために原文を自分で(辞書等用いて)読んで理解できる必要がある。原文で読むのは時間がかかること、またメモを作る際にDeepLの訳文(を少し修正したもの)を貼り付けるのが楽なので、頻繁に用いている。

哲学の論文とNLPの論文では、DeepLで読むときの注意の仕方が全く違う。哲学の論文では細かな表現が重要になるため、誤訳にかなり注意している。そのため、原文と見比べることを頻繁に行っている(その結果余計に時間がかかることもあるが、私の場合はトータルでは訳文を見る方が早く読める)。一方でNLPの論文の場合は、大雑把なメモを作ろうとしているのもあるが、実験目的・方法・結果を適切に把握できる程度であればいいため、そこまで注意してない。また図表もあるため、DeepLを用いずとも理解可能なことが多い。

 

論文を書く

英語でも日本語でも論文を書くが、日本語の場合は英語用に用いているツールを使わないだけである。

私は基本的にLaTeXを用いて論文を書くのだが、ローカルで環境を整えるのが面倒なので、すべてOverleafで完結させている(テンプレートが用意されているときのみCloudlatexを稀に用いる)。Overleafでは日本語対応が少し面倒だが、それを気にしなければ有用な点が多い。LaTeXについて説明するのは大変なのと、私も詳しくないので、知りたい場合は検索するか、以下の本などを読んでください。

 

DeepLは先ほど説明した通り。DeepL Writeは最近でたばかりの言い換えツールで、入力文を自然な言い回しにしてくれる。ただBeta版なのもあり、出力される情報量が少なく、言い換えのコントロールも難しいので、使いにくい。言い換えツールは他にもいろいろあるが、すでにDeepLのPro版に登録して、さらに有料言い換えツールにお金を使いたくないので、諦めている。

Grammalyは文法チェックツールで、自動で英文の文法誤りを訂正してくれる。またPremiumに登録すれば、他にも明瞭さ、繰り返し、受動態の修正などもしてくれる。割引を狙えば50%OFFくらいで登録できるので、そこを狙って登録すると良いと思う。

英語で論文を書くときはこれらのツールを駆使しつつも、自分で最初から英文を書いたりもしている。日本語で書く場合、Overleaf以外は使ってない。

 

他におすすめのツール、方法があれば教えてください。