ボール置き埸

私が興味を持ったことに関して述べるブログです。基本的に自分の考えをまとめ、記録することが目的です。長文の記事ばかりになると思います。もし批判等あればコメントをお願いします。※ルッキズム関連の記事について、今は少し考え方が変わっているので、昔の私の考え方だったというように思ってください。

谷村ノート関連まとめ(気が向いたら随時更新)

自分があとで見てもわかるように、そして他の人にとって議論の整理になるようにまとめていますが、もし転載等をやめてほしいというお願いがあったらコメントやツイッターなどで連絡をください。削除します。

 

 

 

経緯

 事の発端はあるシンポジウムの開催である。まるごと引用する。

哲学と物理学はいくつのかの共通する主題をもっている。しかし、とくに国内においてはこれら二つの分野の交流はきわめて少ないのが現状である。だが、異なる方法論をもつ異なる分野の研究者たちが双方にとって重要な同じ主題について議論をすることは有益であるに違いない。このような動機から、編者は九州大学QRプログラム「現代物理学における時間論の哲学的解釈」 (研究代 表者:森田邦久)の支援のもと2016年12月17日・18日に立正大学にて「『現在』という謎一時間の空間化とその批判へ」というシンポジウムを開催し、物理学と哲学双方の研究者たちに講演をしていただいた。このシンポジウムは幸いなことに好評を博したので、このシンポジウムおよび上記プログラムの支援のもとで開催されたほかの講演会を中心に論文集を編むことにしたのが、本書誕生の経緯である。 (森田ら 2019; p.i)

 そしてその「本書」というのが以下である。

www.keisoshobo.co.jp

「はじめに」と「あとがき」は次で読める。

keisobiblio.com

要するに、<現在>ということを巡って、哲学者と物理学者が論文をやり取りして議論しているのが本書である。この本には様々な議論が載っているが、こと今回において重要なのは次の3つの章である。

第1章 物理学における時間――力学・熱力学・相対論・量子論の時間[谷村省吾]
 コメント:物理学における時間と時間の形而上学[佐金武]
 リプライ:物理学の概念を形而上学で塗り重ねてもすれ違いになるだけではないのか[谷村省吾]

第4章 客観的現在と心身相関の同時性[青山拓央]
 コメント:哲学者に考えてもらいたいこと[谷村省吾]
 リプライ:まず問いの共有を[青山拓央]

第5章 時間に「始まり」はあるか――哲学的探究[森田邦久]
 コメント:物理学者が哲学者の時間論を読むとこうなる[谷村省吾]
 リプライ:哲学者も物理学を無視しない――形而上学と物理学の関係性[森田邦久] 

登場人物は、谷村省吾、佐金武、青山拓央、森田邦久、の四人である。最初の1人が(理論)物理学者で、他の三人は(分析系の)哲学者である(佐金先生は時間論、青山先生は分析系一般、森田先生は科学哲学(特に物理学の哲学)を特に専門にしているようである)。ここまでが本が出版されるまでの話である。

 ここからが本題である。谷村先生が、本書での哲学者からのリプライ(と自身の見解)を述べるために補足ノート(以下、谷村ノート)を公開した。これが大きな反響を読んだ。

目次を見ればわかるが、前半がリプライへの再リプライ、後半が哲学批判になっている。ここで谷村ノートの内容を要約することはしない。

 以下では、このノートをめぐるさまざまなツイート、ブログなどを整理する。「哲学サイド」「物理学サイド」という分け方をしているが、対立を意図しているものではない。またここでの「サイド」はそちらの味方というより、その観点から見たコメントっぽい、という意味である。

(思った以上に物理学サイドのコメントが見つからなかったので、物理学サイドに限らず、今回の件について知っている情報があったら教えて下さい。)

 

追記:森田先生からのリプライ(森田ノート)

http://kisoron.hus.osaka-u.ac.jp/events/reply.pdf

 編著者の森田先生から、谷村ノートへのリプライが公表された。谷村ノート内での、自身の論文への批判である三章と、哲学批判になっている四章に対してリプライしている(それぞれ森田ノートの「1. 時間の経過(谷村ノート 3 章 3.8 以降)」と「2. 形而上学と科学(谷村ノート 4 章)」に該当する)。

 全部で36ページもあるので、忙しい人は「3. おわりに」を読むといいと思う。より詳しく読みたい人は全文読むといいだろう。

 

追記:忙しい人のための谷村ノート関連まとめ

今回の谷村ノートの要点は哲学方法論批判である。したがって気になる人はひとまず、谷村ノートの第四章(特に谷村先生が指示しているところ)を読むべきである。

その上で次にこれを読むと良い。谷村先生の哲学方法論批判に適切に回答しているように思う。

note.com

他の、青山先生や森田先生との議論は哲学方法論についてではないため、あくまで副次的なものである(と思う)。

それでも気になるという方に向けて。青山先生との議論は心の哲学についての議論で、これについてはこのコメントが正しいと私は思う。 

森田先生の方については、元論文が難解であり、あまり触れている人がいない。唯一、ちゃんと答えようとしている方がメビウスさんだが、興味のある人だけが読めばいいと私は思う。(メビウスさんのpdfの最初の部分は、分析形而上学への簡潔で適切な入門になっていると思う、素晴らしいの一言に尽きる)

 

哲学サイド

著者の1人の青山先生からのコメント。

それに対する物理学サイドからのコメント

 

少し話題になっている感想note

note.com

上記と同じ筆者による、当該書籍のまとめ。

rmaruy.hatenablog.com

 

上記のnoteを読んでのいくつかの感想ツイート。

 

文学系を専門にしている方の長文note、主に哲学批判。(哲学サイドはこれを読めば十分なのではないかという気にすらなる)

note.com

 

時間論を専門にしている哲学者の入不二先生のツイート。

 

哲学を専攻(?)しているメビウスさんのツイート。

 それに対する谷村先生のコメント。(議論は12月8日時点で継続中)

 

哲学を専門にしている田口先生のコメントツイート。

 

Aidaさんという方の、哲学批判エッセイ。 

それに対するコメント。

  

じゃくりーぬさんの谷村ノートへの感想記事。

stellaluna.hatenablog.com

 

 

だいきの呟きさんという方の谷村ノートへのコメントツイート。

それに対する谷村先生のコメント。(連ツイの最後に、だいきさんからリプライあり)

 

 以下、いくつかの感想ツイート。

 

 谷村先生の青山先生との議論についてのいくつかのコメント。

草原さんという方の、哲学的ゾンビ解説記事。

the-yog-yog.hatenablog.com

 

物理学サイド

谷村先生のいくつかのコメント。(他にもコメント多数)(3つ目のツイート周辺は読んでおくのがいいと思う)

 

理論物理学者の堀田先生のコメント。

 

同じく理論物理学者の高三先生のコメント。

 

 青山先生との議論に関連して、意識のハードプロブレムについての小林さんと谷山先生のコメント。

その続き。現在進行系で議論も行われているよう。議論の中身は意識のハードプロブレムに限られない。

 

他、関連するブログ記事。

tec0.jugem.jp 

k-makes-it.blogspot.com

 

 

個人的な参考文献まとめ(哲学のみ)

私は物理学(特に相対論と量子論)には詳しくないので、ここでは独学している哲学の方で、今回の件について参考になるであろう本を紹介する。

時間論や分析哲学について参考になるであろう文献

まずは元書籍(『<現在>という謎』)の共著者の文献をあげる。

まずは佐金先生による現在主義擁護の本。見どころとして、相対論と現在主義が矛盾しないことも頑張って論じている(議論の是非を、私には判断できる力量がない)。

www.keisoshobo.co.jp

青山先生による分析哲学への入門書。時間論にも若干触れられている。

www.chikumashobo.co.jp

 

分析哲学への入門書は他にもいろいろあるが、今回の件に関わっている分野は心の哲学と時間論(と存在論)である。時間論にはあまり詳しくないので、他2つの分野の参考文献を載せる。

 

心の哲学

金杉先生によるわかりやすい心の哲学への入門書。

www.keisoshobo.co.jp

 

物理主義に立って、心的因果(心的現象が物的世界について因果的に影響すること)について論じているキムの本。

www.keisoshobo.co.jp

 

「コウモリであるとはどのようなことか」という(哲学界隈では)超有名論文が載っている本。

www.keisoshobo.co.jp

論文の解説はここが参考になる。

w.atwiki.jp

 

その他、心の哲学関連のブックガイド。

www.keisoshobo.co.jp

 

存在論

存在論については倉田先生の本が参考になる。

www.shin-yo-sha.co.jp

www.shin-yo-sha.co.jp

 

(分析)哲学一般、方法論

次に(分析)哲学一般への入門や、その方法論について議論されている文献を紹介する。

(分析)哲学一般

(分析)形而上学がどのような議論をしているのかは、次の2つが参考になる。

www.shin-yo-sha.co.jp

形而上学レッスン | 春秋社

 

哲学方法論

 哲学方法論をメインにして論じている本は少ない。基本的には、上記までに載せてきた文献からその方法論を感じ取ってもらうしかない。だがそれでも、哲学者がどのような思考をすべきかということについて副次的にも述べている本を紹介する。

 

科学哲学を専門にしている伊勢田先生による哲学入門的な本。

www.chikumashobo.co.jp

 

言語哲学を専門にしている飯田先生による、分析哲学方法論を述べた論文。ネットで読める。

分析哲学としての哲学」

http://dep.chs.nihon-u.ac.jp/philosophy/faculty/iida/doc/BunsekiTetsugaku.pdf

 

近年哲学界隈の中で影響力を増しつつある、科学との連続性を重視した「自然主義」という立場についてのいくつかの本。

まずは植原先生の入門書が良いだろう。

www.keisoshobo.co.jp

そのまとめ、感想ブログ記事。

rmaruy.hatenablog.com

 

自然主義」を全面に押し出している哲学入門書としては他に、戸田山先生の本が良い。

www.chikumashobo.co.jp

 

自然主義」については私も記事にしてまとめてあるので、参考にしていただきたい。

mtboru.hatenablog.com

 

科学哲学

 最後に、おそらく若干の関連がある科学哲学の文献を紹介する。

元書籍の編者でもある森田先生によるわかりやすい科学哲学入門書。

www.kagakudojin.co.jp

 

科学的対象(素粒子や法則など)が実在するのかしないのか、という科学的実在論についての議論を紹介している文献。(実在するとかしないとかバカバカしいと思った方には、たぶんしっくりこないかもしれない)

www.unp.or.jp